2019センター試験「物理基礎」および「物理」について

2019センター試験「物理基礎」
センター試験の物理基礎を解いてみました。試験時間は30分。

第1問 小問集合
 力学,波動+電磁気,原子,電気+熱 という出題構成。融合問題が2つあったが,だからといって難しいわけではない。
問4 選択肢5番は,「核分裂の連鎖反応が継続しないように」のところが絶妙に間違った表現をしていて,ミスした受験生もいたかも知れない(選択肢3は正しいので,自信を持ってほしいが)。細かいところまで正確な知識が必要となる出題である。

第2問 波動と電気
問1 気柱共鳴からの出題。平易な内容だが出題に工夫がなされている。
問2 ヘリウムガス中の共鳴の考察だが,これもよく考えられた問題。
問3 内容的には中学レベルの電気回路だが,見かけに惑わされないように。
問4 これまでセンター試験に繰り返し出題されているタイプの問題。とりわけ消費電力はよく題材となるので,十分な理解が必要。

第3問 力学
問1 運動方程式を学習した後で取り組む練習問題のような題材。しかし問いかけは工夫されていて,ちゃんと身についているかが試されている。
問2 空欄12は電気エネルギーか化学エネルギーかで迷いそう。選択肢には前者が存在しないので,大丈夫だが。
問3 常識的な問題。例えば傾斜角を90゜というふうに極端に考えれば分かりやすい。

全体として難しい設問はなく,物理基礎の範囲として良好な作りになっているので好感が持てる。時間的にも問題ないと思う。
(すべての問にコメントを付けてはいませんので,ご了承ください)

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2019センター試験「物理」

時間には余裕があるが,例年より平均が数点下がったのではないだろうか。全体的に良く工夫された良問が多いなあという印象。難しめにチューニングされた問題が数問あったが,選択肢数を減らすなどして,受験生のミスを自分で気づかせるようにして欲しかった。

第1問 小問集合
問2 電場の大きさが等しく逆向きであることを立式する。電位の式と間違えないように。
問3 ふとした知識の隙を突かれたかも知れない。光の進行を考えれば光がスクリーンのどこに到達するかわかるはず。
問5 受験勉強をしていればほとんど知識化しているだろう。念のため今一度確認して答えよう。

第2問 電磁気
「半導体」という用語の使い方が少々気になる。というのも「真性半導体」と「不純物半導体」をどちらも半導体と言ってしまっている現状がある。しかしここでは明確に不純物半導体であることを述べる必要があるので,真性半導体とも解釈できる余地を残してはいけないのではないだろうか?

問1 試験の場でキャリアを考察するのは大変である。p型→n型が順方向であることを覚えておくと便利だ。
問2 よく考えられた問題だなという印象。さすがセンター。
問4 Rがどう関わってくるのかと思っていたのだが,ここだったのか。センターにしては難問かもしれない。問3や問4では次元のおかしい選択肢があるが,近年では珍しい?

第3問 波動
問1 反射において位相が変化するのかしないのかの情報が与えられていない。しかし,2つの屈折率の大小関係で判断させようということだろう。内容的には易しいが,選択肢に工夫がある。
問2 知識ではないので,考察問題と思われる。ちょっと楽しい問題。
問34 ドップラー効果なのだが,力学との組み合わせとなっている。ずっと以前(旧課程の最初の頃だったような気がする)にも似たような題材を扱ったグラフ選択問題があったはず。あのときは単振動がセンター試験の範囲外だったので,若干違反の要素があったのを思い出す。

第4問 力学
計算に時間が取られないように,出題に工夫のある力学分野である。
問1 選択肢を見て引っかからないように。選択肢を見るのは自分で答を出した後で。
問2 リード文を読んだ段階で,いかにも問われそうな気がしていた。受験生なら考えたことがあるだろう。
問3 決して2次試験には出ないような問い方。
問4 これもセンターにしては難しい。しかし,2次試験の勉強をしているなら易しいと感じる。


第5問 熱力学
波動の問題と比べると面白さに欠ける題材(個人的印象)。
問1 少々熱力学第1法則を考察すればよい。
問3 問1・2に比べて時間がかかりそう。B→CとD→Aだけ描ければ答えを選べるだろう。

第6問 原子
第5問との選択問題。例年だが原子分野は他分野に比べて易しい。時間的にも楽である。ただし勉強していないのなら難しいのは当然であるが。
問1 こんな選択肢はえらばないだろう,というものがある。出題者も選択肢作成にお困りになられたでしょう。
問3 授業できちんと押さえる点を尋ねてくれていて,いいですね。お礼を言いたい質問です。