2018センター試験「物理基礎」および「物理」について

2018センター試験「物理基礎」

物理基礎の範囲なのでクセのある問題はなく,基礎的な学習度合いをみる問題で好感が持てます。難易度調整も絶妙です。
30分の試験時間ですが,きちんと勉強している人は時間が余ったと思われます。これは例年通りです。きちんと見返してミスを見つける姿勢が大切です。
また部分点をつけることも定着してきて,大変良いことだと思います。


第1問 全範囲を対象とした小問集合
第2問以降とダブらないように配慮されつつ,各分野をカバーしている。
問4は,音速が知識問題になっているが,物理を勉強したなら常識の範囲。また少し考えさせる部分もあり,面白い。
問5は,比熱ではなく熱容量で問題が作られている。混同した人は不注意か不勉強。熱の問題はいつも気を付けていよう。

第2問 波動と電気
前半は音波,後半は電気抵抗に関する出題。
うなりはよく知られた現象だけに,おろそかにした受験生は後悔したのではないか。単位時間のうなり回数とうなりの周期の区別をしながら解かないといけない。教科書をきちんと読めば大丈夫。
後半は電気抵抗の基本問題。抵抗率に戸惑った人は対策不足か。空欄9は指数部分を省いて計算すると早い。
出題側に要望あり。銅の抵抗率,鉄の断面積,この2つが10のマイナス8乗となっている。標準的な表記であることは十分理解できるのですが,「入学試験」の場ではミスを誘発するだけで,科目の学習目的に沿っているとは思えません。次年度は一考くだされば幸いです。

第3問 力学
センター試験で物理を選択した人は,力学がある程度できるのではと推測します。この大問はきっと満点を目指したと思います。しかしBの方でうっかりミスをしてしまった人もいるかもしれません。簡単に解けそうでも,習ったことにきちんと当てはめて解かないといけません。時間を短縮しても最後に時間が余るのであれば,丁寧に解くのが得策。

最後に
物理あるいは理科の学習においてエネルギー保存則はとても重要です。毎年1問は出題してもいいのではないかと考えます。あと,運動方程式も。お約束問題というのもどうかとは思いますが,出題してほしい分野でした。

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2018センター試験「物理」

時間に対する出題量や難易度など,うまく調節がきいていてい,良い問題だなという印象です。部分点を与えることも定着してきています。(部分点はこのブログでずいぶん要望していました。センター側が酌み取ってくれているのかは分かりませんが・・・)
それにしても選択肢が多いですね。普通は選択肢が多い年は平均が低くなるのですが,ちょうど良い頃合いの平均点になりそうな気がします。そういう意味ではさすがセンターです。

第1問 小問集合
定量問題と定性問題がミックスされた問題。
国公立の2次試験や私学入試を物理で受験する人はもっと難しい問題を解いているので,この第1問は例年ですが盲点になりやすい。文章選択問題では惑わされないよう,しっかりとした知識の定着が必要。
問5は下記実験に似ていて,少しずらした設定となっている。
http://lab.mints.ne.jp/gotai.htm

第2問 電磁気
前半のコンデンサーはあまり深入りせず,それでいて充電グラフの選択など,隙を突かれそうな問い。問2はこんなに簡単で良いのか?
後半は電磁誘導で,少し難しめに設定してある感じ。向きに注意して選択しよう。
問4は若干の計算問題。センター試験ではこれくらいが上限のようです。

第3問 波動
前半は波動の式が出てくるものの,思考力を必要とする面白い問題。あまり問題集に載っていないタイプの良問。いいですね。
後半は光の干渉。徐々に難易度が上昇するように作られていている。計算をきちんと処理していこう。

第4問 力学・熱力学
問2で振動中心が x = 0 ではないタイプの単振動を扱っている。勉強している受験生をふるいにかけようという狙いでしょうか。試験問題分解能を確保するためには必要かな。
後半は熱力学。右側が真空であることを意識して解くことが必要だが,断熱自由膨張でもないので安心。3つの問すべて良心的な出題。

第5問 選択問題 力学
ケプラーの法則と万有引力。面積速度一定の法則は教科書では軽く扱っている印象を持つ人もいるようですが,入試では案外重要な単元。きちんと対策を。
問2は考えさせますね。こういう見慣れない問題は思考力を問えるので,歓迎です。出題された方,ありがとうございます。
問3は直感に頼って答えられたかも知れないですが,学習したことを用いて答を導くことが肝要です。その姿勢が基礎力を充実させてくれます。

第6問 選択問題 原子
センターの原子分野はいつも易しめですね。かといって現役生は授業で学習してから日が浅い場合も多いので,避けるのが無難かも知れません。
問1は若干の知識問題。あやふやな記憶では迷ってしまうのではないでしょうか。
問2は授業で例題として扱った記憶があります。そういう意味でも典型問題です。
問3のサイコロをふる問題は,いつも高3で実習しているものです。
http://lab.mints.ne.jp/hangenki.html
ただ,今回の出題ではまったく難しい要素はなく,とても簡単な問題。短時間に答えられそう。

最後に
この数年の間に,出題される問題は問題集に載っているようなタイプがほとんどとなりました。受験生は安心して取り組める一方で,実験に基づいた出題が鳴りをひそめてきました。これは不満です。学習指導要領では改訂のたびに授業で実験を重視するように書かれていますが,センター試験はそれを無視しているようにも受け取れます。頑張れ,センター出題者。(←上から目線のつもりはありませんが,気を悪くされたら申し訳ありません。)